不動産用語集
あ行
IHクッキングヒーター
IHとは、Induction Heaterの頭文字を取ったもので、「電磁誘導加熱器」という意味である。
IHクッキングヒーターは、トッププレート(結晶化ガラスなどの板)の下に、磁力発生用コイルを敷いたものである。
トッププレート上に鉄製の鍋を置いた状態でコイルに電流を流すと、電磁誘導により鍋底に電気抵抗が生じ、電気抵抗により鍋底が加熱される。
このような原理により鍋底全体を直接加熱するので、周囲の空気へ熱が逃げにくく、熱効率が80%以上と高いという特長がある。 2キロワットのタイプのIHクッキングヒーターは、4,000キロカロリーのハイカロリーバーナーに近い火力を持つとされている。
ただし電磁誘導により加熱を行なうため、磁力の影響を受けやすい調理器具(鉄製のフライパン、鉄鍋、18-0のステンレス鍋、鉄ホーロー鍋など)を使用する必要がある。アルミ鍋、銅鍋、土鍋、耐熱ガラス鍋などは使用することができない。また、鍋底が平らでない鍋(中華鍋など)も使用できない。
このため、アルミ鍋・銅鍋・超耐熱ガラス鍋などが使用できるクイックラジエントヒーターとIHクッキングヒーターを組み合わせたタイプの調理用ヒーターが開発され、普及しつつある(詳しくはラジエントヒーターへ)。
またIHクッキングヒーターを使用するには、家庭内の分電盤において、IHクッキングヒーターだけに使用する200Vの専用回路を設置する必要がある(ただし予備の回路がある場合、その回路を利用できる)。
相見積もり
商品やサービスを注文するときに、複数の者に価格等の見積もりを求め、比較評価して注文先を決定すること。「見積もり合わせ」とも言う。
相見積もりは、住宅工事の発注、建物管理の委任、引越しの依頼などにおいて、幅広く活用されている。
相見積もりに当たっては、予算、依頼内容、納期などを明確にし、それを相手に伝えること、提出された見積書を同じ基準で比較評価すること、原則として3つ以上の相手に見積もりを依頼することが重要である
アイランドキッチン
壁に接することなく独立して設置された調理台の形式。部屋の中で島(英語でアイランドIsland)のようなかたちとなることから名づけられた。
アイランドキッチンは、対面型のキッチンであるとともに、オープンキッチン(ダイニングルームや居間とつながった形式)でもある。開放感やコミュニケーション性に優れている一方、設置のために部屋の広さや強力な換気装置が必要とされる。
なお、アイランドキッチンに類似した調理台の形式として、一端のみ壁に接するかたちのもの(ペニンシュラキッチン)がある。
一筆の土地
土地登記簿において、一個の土地を指す単位を「筆」という。
従って、「一筆の土地」とは「土地登記簿上の一個の土地」という意味である。
永小作権
エコハウス
LPガス
可燃性炭化水素を圧縮し液化した燃料で、Liquefied Petroleum Gasの略語。日本では「液化石油ガス」と訳され、「プロパンガス」も同じ意味で使われている。
主成分は、石油から精製されるプロパン(構造式 CH3-CH2-CH3)またはブタン(構造式 CH3-CH2-CH2-CH3)で、常圧常温で容易に気化し、燃焼時の発熱量が大きい。本来無色無臭であるが、微量の硫黄系化合物で着臭されていて、液体のままボンベに充填して運搬・供給される。
なお、LPガスに似た燃料用ガスとして「都市ガス」があるが、都市ガスの主成分はメタン(分子式CH4)で、ガス管によって気体のまま供給される。
温水洗浄便座
温水を噴出して肛門等を洗浄する機能のある便座。洗浄強度の調整のほか、乾燥や脱臭などの機能が付加されている場合もある。
「ウォシュレット」「シャワートイレ」などの商標があり、これらの商標で呼ばれることも多い。
オンライン重説
不動産取引における重要事項説明をオンラインで実施すること。「IT重説」と同じ意味で用いる場合もあるが、重要事項説明の手続きをすべてオンラインで実施するときには、(1)インターネット等を利用して対面以外の方法で説明すること(IT重説)と、(2)重要事項説明書を電磁的方法で提供すること(書面の電子化)の2つの方法を組み合わせることになる。
オンライン重説の手続きの(1)は、宅地建物取引業法が定めている重要事項説明における対面原則の例外、(2)は、重要事項説明書の書面交付義務の例外である。
オンライン重説に当たっては、消費者が不利益を被らないよう措置することが重要で、取引相手方の承諾を得るとともに、双方向で確実にやりとりができること、電子署名等によって本人証明や文書改ざんがないことの証明を行なうこと、電子書面を「電子帳簿保存法」に定められた方法で保管することなどの要件を満たさなければならない。また、重要事項説明は宅地建物取引士が実施しなければならない。
なお、IT重説と書面の電子化は別の手続きであって、片方だけ実施することもできる。
か行
買取再販
既存住宅を買い取り、リフォーム工事を実施した上で販売する事業形態をいう。
買取再販に当たって実施するリフォーム工事が、大規模な修繕工事、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修など一定の要件に該当する場合には、当該既存住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置および、不動産取得税の軽減措置が講じられている。
カウンターキッチン
キッチン(台所)とダイニングルーム(食事室)の間に、料理などをやりとりできるカウンター(台)を設置する方式又はその方式で造られたキッチンをいう。キッチンを開放的な空間とする方法として用いられている。カウンターキッチンは英語でCounter kitchenと綴れるが、意味上は和製英語である。
カウンターの設置方法には、キッチンとダイニングルームの間仕切り壁に大きな窓を空けてカウンターを置く方式、ダイニングルームの一角に調理台を設置しそれにカウンターを直接付置する方式などがある。
なお、カウンターキッチンの多くは、調理台がダイニングルームと開放的に向き合う配置となっているが、このような配置方式を「対面キッチン」という。
火災保険
火災による損害を補填するための保険。
火災保険契約を締結すれば、住宅、家財、店舗、工場、事業用資機材等が火災によって消失、損傷した場合に、生じた損害に対して保険金が支払われる。
一般に、火災のほか、落雷、爆発、風災などによる損害についても補填するよう設計されている。ただし、地震によって発生する火災の損害は、火災保険ではなく地震保険(火災保険に付帯されることもある)によって補填される。
火災保険の保険期間は、一般に、生命保険に比べて短い。また、保険金(保険者が支払う金銭)は、生命保険と違って、原則として被保険者が現実に被った損害額に基づいて算定される。
家財保険
建物の中にある生活用の動産(家具、家電製品、衣類等)が、火災や災害によって損害を受けたときに補償する保険。火災保険の対象が「建物のみ」の場合には家財の損害は補填されないので、補償を受けるためには、別途、家財保険に加入する必要がある。
特に賃貸住宅においては、一般に建物については貸主が火災保険に加入しているが、家財については保険の対象とされていない。家財の損害を補填するためには借り主が家財保険に加入する必要がある。また、借り主が居室などに大きな損害を与えたときには、原状回復費用を負担しなければならないが、家財保険とセットになった「借家人賠償責任補償」に加入すればその費用を補填することができる。
瑕疵担保責任
売買契約や請負契約の履行において、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売主・請負人が買主・注文者に対して負うこととなる責任。債務不履行により生じる責任のひとつで、目的物が特定物(その固有性に着目して取引され代替性がない)である場合の「契約不適合責任」と同義である。
瑕疵担保責任を負わせるためには、買主・注文者は、売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修等の実施請求)、代金の減額請求、報酬の減額請求、損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。
なお、住宅の品質を確保するため、新築住宅の瑕疵担保責任について「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく特別の定めがある。詳しくは「売主の瑕疵担保責任(品確法における~)」及び「請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)」を参照
管理組合
分譲マンションなどの区分所有建物において、区分所有者が建物および敷地等の管理を行なうために区分所有法にもとづいて結成する団体のこと(ただし区分所有法上では「管理組合」という言葉を使用せず、「区分所有者の団体」と呼んでいる)。
区分所有建物においては、区分所有者は区分所有法により、当然にこの「管理組合」に加入することとされているので、区分所有者の任意で管理組合から脱退することはできない(区分所有法第3条)。
このような管理組合は、集会(いわゆる管理組合の総会)を開き、管理に関するさまざまな事項を議決し、管理規約を定める。
また管理組合の通常業務を執行するために、管理規約にもとづいて複数の理事が選出され、この理事によって構成される理事会が業務を行なう。
また管理組合は、法人になることができる。法人になった管理組合は「管理組合法人」と呼ばれる。
管理受託契約
賃貸住宅の管理業務を受託する契約で、賃貸する住宅の所有者と賃貸住宅管理業者とのあいだで締結される。
管理受託契約には、業務の内容・実施方法、費用、再委託、免責などに関する事項が記載される。賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結する前に、それらの事項(重要事項)を、業務を委託する住宅の所有者に書面を交付して説明しなければならない。
客付け
不動産業界用語の一つで、売却を依頼された不動産の買い手を見つけることをいう。
依頼された不動産会社が自らそれに当たるとは限らず、他の不動産会社の紹介で買い手が見つかることも多い。
一方、売却を依頼されることを「元付け」という。
キャビネット
飾り棚。英語のcabinet。美術品などを飾るための家具で、ガラス製の戸棚や引き出しが付いている。また、キャビネット自体が装飾され、インテリアの一部となっている場合も多い。
強制執行
債務者に給付義務を強制的に履行させる手続きのことを「強制執行」という。
強制執行を行なうには、公的機関が作成した確定判決などの文書(債務名義)が必要であり、またその債務名義に「執行文」が記載されていることが必要である。
強制執行は、金銭執行と非金銭執行に分類される。
金銭執行とは、債務者の財産を差し押さえて(さらには競売により換価して)、金銭を債権者に交付するような強制執行である。代表的な金銭執行としては「強制競売」と「債権差押」がある。
また非金銭執行とは、金銭債権以外の債権(例えば土地引渡請求権)を実現するために行なわれる等の強制執行である。
なお、債務者(または物上保証人)の不動産に抵当権を設定している債権者が、その抵当権にもとづき不動産を競売することは、「任意競売」と呼ばれる。しかし任意競売は、強制執行には含まれない。また、任意競売では「抵当権の存在を証する文書」は要求されるが、「債務名義」は必要ではない。
区分所有権
分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。
この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。
区分所有権とは、この専有部分を所有する権利のことである。
クーリングオフ
一定期間、無条件で契約の申込みの撤回または解除ができる制度。消費者を保護するための措置で、訪問販売、電話勧誘販売などに適用されるが、一定の宅地建物の取引もその対象となる。
クーリングオフの適用があるのは、
1.宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地建物売買契約において、2.その事務所やそれに準ずる場所以外の場所で申込みや締結がされた場合であり、3.撤回または解除ができるのは8日間以内
である。
撤回または解除は書面で通知しなければならないが、その理由などを示す必要はなく、発信日を明確にすれば良い。その通知があったときには、売主は速やかに手付金等受領した金銭を返還しなければならない。
競売
債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、その売却代金によって債務の弁済を受けるという制度のこと。
契約不適合
売買や請負において、契約に基づいて引き渡された目的物が、種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合していないことをいう。
たとえば、土地の地目が異なっていれば種類が不適合であるし、建物の耐震強度が不足していれば品質の不適合となる。また、受け取った品物の個数が違えば数量の不適合である。
目的物が不動産の場合には、品質に関する不適合の判断が問題となる。「住み心地」のような品質は評価が難しいし、耐震性、耐火性などは設計や工事記録を精査しないとわからない。あるいは、既存住宅などについては経年的な品質の劣化をも考慮しなければならない。住宅性能評価や住宅インスペクションを実施することは、契約不適合に対応するためにも有効である。
また、不動産売買において契約表示面積と実測面積のあいだに過不足があったときには、契約において実測面積を基礎に代金額を定めるとの合意がある場合に契約不適合となる。
契約不適合の場合には、買主・注文者は、売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修や代替物等の引渡し請求)、代金減額請求、報酬減額請求、損害賠償請求又は契約解除権の行使をすることができる。ただしこれらの請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならないとされている。
このルールは、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって明確化された。
原状回復
ある事実がなかったとしたら本来存在したであろう状態に戻すことをいう。
例えば、契約が解除された場合には、一般に契約締結以前の状態に戻さなければならないとされる(原状回復義務を負う)。また、損害賠償の方法として、金銭で補償するのではなく損害が発生する以前の状態に戻す方法(原状回復による賠償)が認められる場合がある。
借家契約では、退去時の原状回復義務を特約していることが多いが、「本来存在したであろう状態」にまで戻せばよく、借りた当時の状態にする必要はないとされている。つまり、契約に定められた使用方法に従って通常の使用をしていれば、経年劣化があってもそのまま返還すればよい。
国土交通省が公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃借人が負担すべき原状回復費用は、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲に限るとしている。また、東京都の「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例(賃貸住宅紛争防止条例、いわゆる東京ルール)」(2004年10月施行)では、重要事項説明の際に、借主に対して退去時の通常損耗等の復旧は貸主が行なうことが基本であること、入居期間中の必要な修繕は貸主が行なうことが基本であること、契約で借主の負担としている具体的な事項などを書面で説明しなければならないとしている。
更新料(建物賃貸借における~)
建物の賃貸借契約を更新する際に、借主から貸主に対して支払われる金銭をいう。
支払いを求めるためには、支払いについての合意が必要である。
なお、更新料をめぐっては、その支払い合意は無効であるとの訴訟が提起されているが、最高裁判決(平成23年7月15日、第二小法廷)は、
1.更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当
2.更新料の支払いには、およそ経済的合理性がないなどということはできず、また、一定の地域において、期間満了の際に賃借人が賃貸人に対し更新料の支払いをする例が少なからず存することは公知であること、裁判上の和解手続き等においても、更新料条項は公序良俗に反するなどとしてこれを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことに照らすと、賃借人と賃貸人との間に更新料条項に関する情報の質および量ならびに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることはできない
3.賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当
として、一定の条件のもとでその適法性を認めた。
公図
登記所(法務局出張所などのこと)に備え付けられている地図であって、土地が一筆ごとに書かれており、土地の形状や隣接地との位置関係が一目で分かるように作られたもの。登記所で閲覧し、写しを取ることができる。
公図が着色されている場合には、各色が次のような意味である。
赤:道路、 青:水路、 黄色:田、 薄茶色:畑、 黄緑色:原野
固定資産税
毎年1月1日現在において、土地・家屋等を所有している者に対し、市町村が課税する地方税のこと。
不動産の所在地の市町村が課税の主体となるので、実際の徴収事務は市町村の税務担当部署が行なう。
固定資産税の納付方法については、年度初めに市町村から土地・家屋の所有者に対して、固定資産税の「納税通知書」が送付されてくるので、それに従って年度内に通常4回に分割して納付することとされている(ただし1年分をまとめて先に支払うことも可能である)。
固定資産税の税額は原則的に「固定資産税課税標準額の1.4%」とされている。
ただし、一定の新築住宅については固定資産税額の軽減措置が実施されている。また、住宅用地については固定資産税課税標準額そのものが6分の1または3分の1に圧縮されている。
固定資産税は毎年1月1日において、固定資産課台帳に所有者として登録されている者に課税される。
従って、年の途中で不動産の売買が行なわれて、所有者が変わった場合であっても、納税義務者は元の所有者となる。こうした場合には不動産売買契約書において、その年度分の固定資産税額の一部を新所有者が負担するという特約を設けることが多い。
合意更新
さ行
債権
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。
再建築不可
建替えや増改築ができない状態であることをいう。
例えば、接道義務を満たしていない敷地、既存不適格建築物はいずれも再建築不可である。
宅地建物取引業務においては、不動産広告および重要事項説明書に必ず「再建築不可」である旨の記載をしなければならない。
債務
私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。
債務を負っているのが債務者である。
35条書面
「重要事項説明書」と同じ。それを参照。
なお、重要事項説明に当たって35条書面を交付するのは宅地建物取引士である。一方、37条書面は宅地建物取引業者が交付する。
37条書面
宅地建物取引業者が不動産取引に関与して契約が成立した場合に、当該業者が取引当事者に交付しなければならない書面。この書面の交付は、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく義務である。
交付する書面には、代金または借賃の額、その支払方法、引き渡しの時期など法律に定める主要な契約内容(売買・交換の場合と賃貸借の場合とで異なる)を記載するとともに、宅地建物取引士が記名しなければならない。
なおこの書面の交付は、契約書(宅地建物取引士の記名押印があるもの)の交付によって満たすことができる。
重説
「重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約・賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。
この重要事項説明において宅地建物取引業者が買主・借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」という。
不動産の買主・借主は、契約しようとする物件に関して十分な情報を持っていない事がほとんどで、また買主・借主が一般人である場合には不動産に関する法律知識が不十分であるため、思わぬ損害を受けてしまう可能性がある。
そこで、宅地建物取引業法第35条では、売買契約・賃貸借契約を締結するよりも前に、不動産取引を代理・媒介する(または自ら売主として取引する)宅地建物取引業者が、買主・借主に契約上の重要な事項を説明するように法律で義務付けているのである。
重要事項説明にあたっては、説明する重要事項をすべて書面に記載し、買主・借主にその書面(重要事項説明書)を渡す必要があるとされている。この重要事項説明書には、宅地建物取引士が記名押印しなければならない。
さらに宅地建物取引業者は、宅地建物取引士を通じて、重要事項説明書の内容をわかりやすく買主・借主に説明しなければならない(このとき宅地建物取引士は宅地建物取引士証を提示しなければならない)。このように、一定以上の知識経験を有すると認められる有資格者(宅地建物取引士)が説明することにより、買主・借主に誤った説明がされないよう配慮されているのである。
重要事項説明書に記載すべき事項は、非常に広範囲にわたる。また契約の種類・物件の種類によっても説明すべき事項に多くの違いがある。
スマートキー
自動車の施錠・解錠、エンジン始動などの操作を機械式の鍵に代わって行なう機器。英語のsmart key。車両とスマートキーとが無線で通信することによって作動する。
スマートキーによる自動車の操作は、鍵を用いた機械的な操作に代わる方法として、広く普及している。
なお、スマートキーが担う機能やその名称は、自動車メーカーによって異なる。
スマートロック
通信で建物や部屋の鍵機能を制御する装置。英語のsmart lock。情報端末などから操作を指示する信号を受信し、その信号が本物であるかどうかを認証し、指示に従って錠前を操作するシステムである。
スマートロックの仕組みは、認証の手法、通信の方法、錠前の構造によって異なる。例えば、認証には、スマートフォンに内蔵したデータ、指紋や顔、パスワード、ICカードなどが用いられている。また、操作の日時、操作者名などの履歴を記録する機能を備えたものもある。
スレート葺き
屋根の仕上げ方法の一つで、粘板岩(slate、スレート)を板状に加工したもの、または、それに類似する板状の素材で屋根を覆うことをいう。
材料としては、天然の粘板岩のほか、石綿スレート(セメントを主体に石綿を混ぜたもの)等が使われている。
石綿
蛇紋石・角閃石など繊維状ケイ酸塩鉱物の総称。英名アスベスト(Asbestos)。
繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。
しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されている)。
建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。
専属専任媒介契約
宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)のうち、専任媒介契約であって、かつ依頼者は、依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買等の契約を締結することができない旨の特約が付いた契約をいう。
つまり、依頼者は取引の相手方を自分で発見しても、媒介を依頼した宅地建物取引業者の媒介なしには契約できないことになる。
専属専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、5日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。
専任媒介契約
宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。
この契約の有効期間は、3月を超えることができないとされている(契約期間の更新は可能)。
専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、7日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている
善意・悪意
私法上の概念で、ある事情を知らないことを「善意」、知っていることを「悪意」という。
私的な法律関係においては、善意であるか悪意であるかによって、法律効果が異なる場合が数多くある。
例えば、相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であるが、善意の第三者には対抗できないとされている。従って、AからBに不動産の仮装売買がなされ、さらに第三者Cがその不動産をBから買収したときには、Cが仮装売買の事実を知らなければABはCの買収の無効を主張できないが、Cが知っていれば買収は無効である。
相続登記
相続の発生に伴って、土地建物の権利者(または権利の割合)が変わった場合に、その権利の変更を登記することを「相続登記」という。
相続登記をするには、法定相続分のままで登記する場合と、遺産分割協議で決定した内容に基づいて登記する場合がある。また、有効な遺言書が存在すれば、遺言書に従って相続登記することになる。
法定相続分のままで相続登記をし、その後に遺産分割協議が成立した場合は、その協議の決定内容に基づいて再度、相続登記を申請することになる。
なお、不動産登記法の改正によって、相続登記が義務化された(2024年4月1日施行)。この場合、正式の申請に代わって、相続した旨のみを申し出ることで申請義務を履行したものとみなす仕組み(相続人申告登記)も創設されている。
SOHO
Small-Office Home-Officeの頭文字で、小規模事務所や自宅で働く職場形態、もしくはその用途に対応した物件のこと。
都市郊外にコピー、FAXなどのOA機器を共用する賃貸型小規模SOHO施設も登場し、高齢者や主婦などがビジネスを展開するケースもある。
た行
宅地建物取引業保証協会
宅地建物取引士
宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。
一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。
宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。
1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印
宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。
1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。
4)宅地建物取引士証の交付を申請すること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
5)宅地建物取引士証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる。
宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。
代位弁済
債務を債務者以外の者が弁済し、その弁済者が債務者に対して求償権を取得する場合の弁済をいう。
債権者からみれば債務者に代わる者(代位する者)から弁済を受けることになり、債権者の求償権は弁済者に移るのである。
代位弁済には大きく2つ場合がある。
一つは、保証人、連帯債務者、抵当不動産の第三取得者など、弁済について正当な利益を持つ者による弁済で、この場合は弁済によって当然に求償権が移転する(法定代位)。
もう一つは、利害関係のない第三者が弁済する場合で、この場合にはその代位について債権者の承諾が必要である(任意代位)。
大規模修繕
分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、計画的に行なわれる修繕であって、多額の費用を要する修繕のことである(これに対して多額の費用を要しない計画的な修繕は「小規模修繕」という)。
具体的には、鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指している。
これらの修繕工事を適切に行なうためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠である(修繕工事の実施時期・費用等について詳しくは長期修繕計画へ)。
なお、大規模修繕を実施するためには、管理組合の集会で大規模修繕の実施を可決しなければならない。一般に、大規模修繕はマンションの形状や効用の著しい変化を伴わないため、区分所有者数の過半数かつ議決権の過半数の賛成で可決される。
代襲相続
被相続人の子または兄弟姉妹が、相続開始前に死亡などによって相続できないときに、その者の子が、その者に代わって相続することをいう。代わって相続する者が「代襲者」である。民法に定められている制度である。
また、代襲者が相続開始前に死亡などによって相続できないときも、代襲者の子は代襲者に代わって相続できる。これを「再代襲」という。
代襲者の相続分は被代襲者の相続分と同じで、代襲者が複数いるときにはそれを均等に相続する。
地役権
地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。「通行地役権」などがある。
地価公示
最も代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法にもとづき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。
地価公示では全国で選定された2万6,000地点(令和5年)の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を「公示地価」という。
地価公示によって評価された公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっている。
仲介手数料
媒介報酬(仲介報酬)とも。
宅地建物取引業者の媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約にもとづき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと(詳しくは報酬額の制限へ)
中二階
一階と二階床の中間につくられた階。
中二階は、階高が低めで、床面積が一階より小さく、張り出しているかたちとなっている。バルコニーに似て、空間的に一階とつながるため開放的であるとされる。
また、二階以上の階について同様のかたちでつくられた階も「中二階」という。
長期優良住宅
長期にわたり使用可能な質の高い住宅をいう。
その具体的な基準は明確には定まっていないが、単に物理的に長寿命であるだけでなく、ライフスタイルの変化などへの対応、住環境への配慮など、社会的に長寿命であることが必要であるとされる。「200年住宅」ともいわれる。
長期優良住宅の開発・普及は、優良な住宅ストックを形成するための重要な政策の一つであると考えられている。
2008年には、長期優良住宅の普及のために「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅普及促進法)」が制定され、i)長期使用に耐える構造(劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、省エネルギー性、バリアフリー性)を備え、ii)居住環境、iii)自然災害への配慮、iv)住戸面積、v)維持保全計画について一定の基準を満たす住宅を認定する制度(認定長期優良住宅制度)が創設されている。
また、認定長期優良住宅の普及のために、税制上の優遇、容積率の制限緩和、超長期住宅ローンなどの措置が講じられている。
同時に、法律とは別に、長期間使用可能な住宅の先導的なモデルの開発や、住宅の建築確認、点検、保全工事などの情報(住宅履歴情報)を記録・保存する仕組みを整備し、その活用などによって優良な住宅の円滑な流通を促進することなども推進されている。
通行地役権
通行地役権とは、通行という目的のために設定される地役権(民法第280条)のことである(民法第280条)。
例えばAの所有地が、ある公道に面しているとする。
しかしAがその公道を使用すると、通勤の関係では遠回りになるので、できることならば、裏手にあるBの所有地を横切って、その向こうにある別の公道に出たいと考えているとする。
このときAがBの所有地を通行するには、AがBの土地の一部を賃借するという方法がまず考えられる。
しかしながら賃借権を設定するならば、その土地の一部をAが排他的・独占的に使用することとなる。そのためBの承諾を得ることが難しいし、また賃借料も高額になるであろう。
こうした場合によく用いられるのが通行地役権である。通行地役権の場合には、その目的が「Aの通行」に限定されているため、賃借権の場合に起きるであろう問題を回避することができるからである。
こうした通行地役権を設定するには、要役地の所有者(上記例ではA)と承役地の所有者(上記例ではB)との間で「地役権設定契約」を締結することが必要である。
この設定契約において地役権の対価(通行料の支払い)が定められるが、法律上は無償の地役権とすることも可能である。また地役権は登記することができる(不動産登記法第3条)。
坪単価
面積1坪あたりの価格。土地の価格水準を示すときに使われることがある。1坪=3.3058平方メートル。
「坪」は日本で使われていた面積の単位で、1辺が1間(=1.8182メートル)の正方形の面積である。また、300坪が1段(反)(=991.74平方メートル)、3,000坪が1町(=9917.4平方メートル)である。
定期借地権
1992(平成4)年8月1日に施行された新借地借家法では、借地権を普通借地権と定期借地権に区分した。
普通借地権とは、借地権の存続期間が満了した際に、地主側に土地の返還を請求するだけの正当事由が存在しなければ、借地人が更新を望む限り自動的に借地契約が更新されるというものである。
これに対して定期借地権とは、借地権の存続期間が満了した際に、地主側の正当事由の有無にかかわらず、借地人は借地を地主に返還しなければならないというものである。
定期借地権には「一般定期借地権」「建物譲渡特約付き借地権」「事業用借地権」の3種類がある。
抵当権
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。
債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
手付金等
売買契約の締結から宅地建物の引渡し前の間に支払われる手付金などの金銭で、最終的に代金の一部になる金銭のこと(宅地建物取引業法第41条第1項)。
宅地建物取引業法(第41条・第41条の2)では、この手付金等を、第三者が保管するなどの方法で保全するように定めている。これは、売主が物件を引き渡せないなどの不測の事態が生じた場合に、手付金等が確実に買主に返還されるようにする目的で創設された制度である(詳しくは「手付金等の保全」へ)。
実際の不動産取引では、次の金銭が「手付金等」に含まれるかどうかが問題になる。
1.手付金:手付金は契約締結時に交付され、通常は物件引渡し時点までに(例えば残金支払いと同時に)手付金は売買代金の一部になる。従って、手付金は「手付金等」に該当する。
2.内金:内金は通常は物件引渡し前に交付される「代金の一部」のことであるので、「手付金等」に該当する。なお、内金という名称で実際は「手付金」の場合もまれにあるが、これは上記1.の理由によりやはり「手付金等」である。
3.中間金:中間金は物件引渡し前に交付される「代金の一部」のことであるので、「手付金等」に該当する。
4.残金:売買代金から、手付金、内金、中間金を差し引いた残りのことである。残金は、通常は宅地建物の登記名義の移転手続き(このとき物件の鍵も交付する)と同時に支払われる。従って、残金支払いの時点で物件が引き渡されるのが通常であるから、残金は「手付金等」に含まれないということができる。
5.申込証拠金:申込み証拠金は契約より前に買主が売主に交付する少額の金銭(通常は10万円以下)で、その目的は申込み意思の確認や、申込みの順番を確保するものである。申込み証拠金は直接的に代金の一部になるものではない。従って、申込み証拠金は「手付金等」に含まれないということができる(ただし、申込証拠金は契約と同時に「手付金」の一部になることが多い。すると、契約時点以降は上記1.の手付金に含まれることになる)。
ディンプルキー
シリンダーの作動によって制御される錠(シリンダー錠)の一つで、シリンダー内に並べられたピンの制御を、表面に多数の小さなくぼみ(ディンプル)が付いている鍵によって行なうものをいう。
鍵のパターンが非常に多く、鍵の複製が難しいのでピッキング(鍵穴に器具を差し込んで解錠すること)対策に優れているとされる。
電子契約
情報通信技術を利用し、コンピューター画面を介して電子データを用いて締結される契約。
電子契約の信頼性を書面契約と同水準で確保するためには、契約意思を表示する電子的な署名の仕組み、契約内容の改ざん防止する措置、契約内容を電子データとして保管し、真正性を証明するシステムなどが必要で、「電子署名法」「電子帳簿保存法」等の法令が整備されている。
なお、宅地建物取引業法などにおいて義務付けられている書面の交付や書面による契約については、相手方の承諾を得たうえで、一定の要件を満たす電子的な交付や電子契約が認められている。
登記簿謄本
ある不動産に関する1組の登記用紙のすべての写しのこと。
登記簿謄本の末尾に登記官が押印することにより、その内容が正しいことを証明している。
土地の場合、登記簿謄本はその土地に関する「表題部」「権利部」(甲区・乙区)の写しである。また建物の場合、登記簿謄本はその建物に関する「表題部」「権利部」(甲区・乙区)の写しである。
なお、1組の登記用紙の一部のみの写しは「登記簿抄本(とうきぼしょうほん)」という。
コンピュータシステムを導入している登記所では、登記簿謄本に代わるものとして「登記事項証明書」を交付している。
都市ガス
市街地に配管したガス管によって広域に供給されるガス燃料。
供給されるガスは、大半がメタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)である。発熱量等に応じて規格が定まっていて、ガス器具もそれぞれの規格に適合していなければならない。規格の種類はいくつかあるが、ほとんどの都市ガスの規格は「13A」である。
なお、液化天然ガスは無色、無臭であるが、安全のために匂い(ガス臭)がついている。また、空気よりも軽い。
都市計画法
都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。
この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。
主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。
トタン屋根
トタンで葺いた屋根。荷重が小さく、比較的安価で、施工が容易である。一方で、耐久性、防音性、断熱性に難があるとされる。
「トタン」は、亜鉛メッキ鋼板の俗称で、鋼板に亜鉛を鍍金して錆びにくくした建材である。屋根材として用いるときには、通常、トタンの表面をさらに塗装する。
なお、金属で葺いた屋根を「金属屋根」といい、トタンのほか、ガルバリウム鋼板、ステンレス、銅板などが使われている。
な行
納戸
もともとは屋内に設けた衣類などを収納する部屋という意味であるが、不動産広告では採光のための窓がない(または窓が小さい)部屋のことを「納戸」と表示する。
建築基準法によれば、住宅の居室には、採光のための窓などを居室の床面積の7分の1以上の大きさで設けなければならない(建築基準法第28条第1項)。
従って、住宅の構造上、採光のための窓を設けにくい部屋は、建築基準法上の「居室」となることができない。そこで、住宅の販売広告等ではこうした部屋を「納戸」と表示することにしているのである。
また最近は「サービスルーム」、さらにはその頭文字を取って「S」と表示されることも多い。
なお、不動産広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、建築基準法の採光等の規定をクリアしていないために「居室」となることができない部屋は「納戸」等と表示することと定めている。
根抵当
継続的な取引によって生じる不特定の債権を担保するための仕組みをいう。
契約によって極度額を定め、増減し変動する多数の債権について、極度額の範囲内で担保することができる。これらの債権は将来確定するものであるが、債権が消滅しても、根抵当権は極度額の範囲で存続することとなる。
根抵当が認められるためには、担保する債権の範囲および債務者をあらかじめ定めておかなければならず、根抵当権の対象となる債権は、
1.指定した特定の継続的取引契約または取引の種類から生じる債権
2.特定の原因によって継続する債権
3.手形・小切手債権
に限られる。例えば、金融機関との信用取引や商社等との継続的な購入契約により生じる債権がこれに該当する。しかし、一切の債権を一括して担保するような抵当権(包括根抵当権)は認められていない。
なお、根抵当の対象となっている債権が譲渡されたときには、根抵当権はこれをカバーしない(随伴しない)が、あらかじめ定めた期日の到来や取引の終了等によって元本(担保の対象となる債権)が特定されると(元本の確定)、通常の抵当権と同様、債権の移転とともに抵当権も移転することになる。
年末調整
所得税は、毎月の給料や賞与からあらかじめ概算の税額を差し引いておく仕組みになっており、この概算の税額を「源泉徴収税額」という。
この源泉徴収税額はあくまで概算なので、1年の終了時点では、所得税の払い過ぎ(または不足)が発生するのが普通である。
この払い過ぎの部分を、翌年1月の給料において、勤労者に戻すこと(または不足の部分を追加徴収すること)を「年末調整」と呼んでいる。
農地法
農地の権利移動や転用の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めた法律。1952(昭和27)年に制定された。
耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としている。
2009(平成21)年の法改正によって、農地の賃貸借に関して大幅に制限が緩和され、農業生産法人だけでなく、一般の法人、NPO等が、農地を借りて営農できるようになった。
一方、農地について所有権、賃借権等を有する者は、その適正で効率的な利用を確保する責務を負う旨の規定も追加された。
は行
梁
小屋組や床組の荷重を二点支持により水平や斜めの状態で支える横材のこと。
柱などと連結して、上方からの荷重を鉛直方向に流し、地面に力を伝える重要な構造部材である。
媒介契約
不動産の売買・交換・賃貸借の取引に関して、宅地建物取引業者が取引当事者の間に立ってその成立に向けて活動するという旨の契約をいい、売主または買主(賃貸借取引の場合には、貸主または借主)と宅地建物取引業者との間で締結される。
宅地建物取引業法は、媒介契約について、契約内容を記した書面の交付義務、媒介報酬の制限などを規定しているほか、媒介契約に従って行なう活動の方法等についてそのルールを定めている。
フラット35
住宅ローンのひとつで、民間金融機関と(独)住宅金融支援機構が連携して提供する長期固定金利のものをいう。民間金融機関が住宅資金を融資したうえでその債権を住宅金融支援機構に譲渡し、機構はその債権を証券化して資金を調達するというしくみによって運営される。
フラット35の融資期間は最長35年でその間の金利は固定されている。また、融資の対象となる住宅は、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していなければならない。住宅を建築する場合のほか、新築住宅の購入、中古住宅の購入、借り換えの場合にも利用できる。
物上代位
私法上の概念で、担保物権の効力が、その目的物に代わる物や金銭に及ぶことをいう。
担保物権の目的物が売却、賃貸、滅失、破損等により金銭債権等に転化した場合に、それに対しても優先弁済の効力を及ぼすことによって目的物の価値の減少を防ぐという意味がある。
先取特権、質権、抵当権について認められているが、留置権については認められない。
例えば、抵当権を設定した建物が火災で滅失した場合には、建物所有者に支払われる火災保険金に対して抵当権の効力が及ぶ。これが物上代位である。
分譲賃貸
分譲用の住戸を賃貸すること。もっとも、建築設計上は、分譲用住戸と賃貸用住戸との違いはない。
プロパンガス
プロパンやブタンを主成分とするガス燃料。プロパンやブタンは液化石油ガス(LPG)である。高圧で液化してボンベに充填し、ボンベを配送する方法で供給される。家庭用燃料として供給されるプロパンガスの成分規格は、添加物の違いはあるものの基本的にひとつだけで、家庭用プロパンガス器具はこの規格に適合するよう製造されている。
無色、無臭であるが、安全のために匂いがついている。また、空気よりも重い。
なお、都市ガスに比べて単位容量あたりの発熱量が大きいが、ガス器具の構造によって燃焼量が調整されているため、使用に当たっての火力は都市ガスとほとんど同じで、安全性も同等である。
ペアローン
住宅資金を借りるときに、必要な借入額を2つに分割し、2人(例えば夫婦)がそれぞれの額を独自に借り入れる方法。この場合、お互いの債務について、相互に連帯保証人になる。pair-loanは和製英語。
ペアローンでの融資審査は各自が受け、各自がそれぞれの借入額の債務者となる。あたかも、住宅を共有物とし、その共有持分に対してそれぞれ融資するかたちであるが、本来同一である給付を無理に分割するなど、変則的な融資方法である。
ペアローンは、必要資金の全部ではなく分割した借入金のみの債務者となることが「連帯債務」と、債務を保証するのではなく債務者となることが「連帯保証」と、それぞれ異なる。
ペントハウス
次の2つの意味がある。
1.建物の最上階に設けられた非常に高級な部屋
2.建物の屋上に造られた階段室・昇降機塔などのこと
わが国では、主に2.の意味で用いられる。
なお、わが国の建築基準法では、建築面積の8分の1までの広さのペントハウス(2.の意味)は、建築物の高さおよび階数に原則的に算入しないという特例がある(建築基準法施行令第2条)。
法廷地上権
土地とその上の建物を同じ所有者が所有している場合に、競売等により土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際に、民法などの規定により建物のために地上権が自動的に発生することとされている。このように土地建物が強制的に分離処分される際に、法律の規定により建物のために発生する地上権を「法定地上権」と呼ぶ。
民法第388条では、抵当権の実行(いわゆる任意競売)により、土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際に、建物のために法定地上権が発生すると規定する。また民事執行法第81条では、競売(いわゆる強制競売)の際にも、建物のために法定地上権が発生すると規定する。また、国税徴収法第127条では租税滞納による物件売却(いわゆる公売)の際にも、建物のために法定地上権が発生すると規定している。
このように、各法律で法定地上権を規定している理由は、競売等により土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際には、建物が敷地を利用する権利がいったん消滅することとなり、建物を土地から撤去しなければならないという不都合が生じるので、そうした不都合を回避するために、建物に地上権(法定地上権)を付与するという趣旨である。
ポーチ
建物の入り口部分で、建物の屋根とは別の庇(ひさし)を持ち、建物の外壁から突き出している部分を「ポーチ」という(建築用語では庇型ポーチという)。
ただし、建物の外壁に大きなくぼんだ空間を造り、そのくぼみの内側に玄関ドアを設けた場合もその空間を「ポーチ」ということがある(建築用語では寄り付き型ポーチという)。
ま行
間取り
部屋の配置。居間、寝室、台所、浴室などの位置関係や、それぞれの部屋のかたち・広さによって示される。
間取りを図面化したものを「間取図」といい、通常は方位、縮尺が示されている。
なお、「◯LDK」のような表示は、部屋の位置関係が不明であって、間取りを示すものではない。
マンスリーマンション
おおむね1ヵ月単位で賃貸借される住宅。一般に、家具や基本的な生活品が備えられ、簡易な手続きで入居できる。
長期滞在型ホテルまたは短期賃貸住宅として経営されているケースが多いが、その区別の基準は明確ではない。一応の目安として、賃貸期間が1ヵ月を超えていればホテルではないと考えられている。
ホテル経営であれば旅館業法が適用されるが、賃貸住宅の経営であれば一般の不動産賃貸と同様に特別の法規制はない。ただし、所有・賃借する住宅をマンスリーマンションとして経営する場合には、マンション管理規約等に適合する必要があるほか、賃貸借の仲介業務については宅地建物取引業法が適用される。
民泊
旅行者等が一般の住宅に宿泊すること。
この場合に、有償で反復継続して宿泊を提供すれば、宿泊営業に該当し、旅館業法の許可を得なければならない(「簡易宿所営業」「下宿営業」)。そして許可を得るには、一定の設備の設置等が必要となる。
一方、賃借人が部屋等を自ら管理し、「生活の本拠」とする場合(期間は1ヵ月以上とされる)は、部屋等の賃貸は貸室業であって、旅館業法の宿泊営業には該当しない。
このように、民泊を営業することについては規制がある。しかしながら、民泊を仲介する情報サービスの出現、安価なホテルの不足、観光客の宿泊需要への的確な対応の要請などを背景に、民泊を広く活用するための規制緩和が必要であるとの意見がある。他方、良好な住宅街での営業や、マンションなどの部屋を民泊に利用することは、悪用の可能性、治安上の不安、居住マナーの悪化などの恐れがあるとして、緩和を危惧する意見も強い。
そこで、両方の意見を参酌して「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が制定され、民泊の営業等について規制を緩和するとともに、業務のルールが定められた(2018年6月15日施行)。
住宅宿泊事業法が定める主なルールは、1)住宅宿泊事業に関する規制、2)住宅宿泊管理業に対する規制、3)住宅宿泊仲介業に対する規制である。たとえば、年間提供日数が180日を限度とする民泊の営業(条例で、区域を定めて営業実施期間をより短く制限することができる)については、旅館業の許可は不要であるとする一方、都道府県知事等への届出を必要とし、一定の衛生・安全の確保、宿泊者名簿の備え付け、標識の掲示などの義務を負うこととされている。
なお、農山漁村で体験民宿を営む(農家民宿)場合は、別途、旅館業法の規制が緩和されている。
メガソーラー
出力1メガワット(1,000キロワット)程度以上の大規模な太陽光発電をいう。大型の太陽光パネルを設置する広い土地が必要となるが、休耕田や耕作放棄地の活用が提案されている。
FIT制度(固定価格買取制度)の導入による採算性の確保、農地等の利用に関する土地利用調整の円滑化などによってその推進が図られている。
メゾネット
マンションにおいて、上下2階にわたる住戸のことを「メゾネット」という。
上下に広い空間を確保し、一戸建てのような内部空間を作ることができる。
元付け
宅地建物の売買の仲介において、顧客から直接に売買の依頼を受けている立場にあることをいう。
一方、そのような依頼を受けた売買の相手方(売る依頼ならば買い手、買う依頼ならば売り手)を発見・仲介することを「客付け」と呼ぶ。
宅地建物の仲介業務においては、元付けを担う業者(元付け業者)と客付けを担う業者(客付け業者)が異なり、両者が共同して取引を成立させることが多い。
や行
家賃保証会社
賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。
家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。
契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。
家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。
家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。
床暖房
床に発熱装置を組み込み、それからの輻射熱で暖房するしくみ。発熱装置には、温水パイプ、温風ダクト、電熱線などがある。
床暖房は、床から輻射熱で暖めるため、適切な温度環境を効率的に確保することができるが、建築時に一体的に設置しなければならない。
ユニバーサルデザイン
デザイン思想の一つで、「できるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインする」という考え方をいう。
ロナルド・メイス(ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター所長)が提唱したもので、文化や言語の違い、老若男女の差、障害・能力の如何を問わずに利用することができるように施設・製品・情報をデザインすることを目指している。
その原則として、
1.公平に使えること(Equitable use)、2.高い自由度で使えること(Flexibility in use)、3.使い方が簡単ですぐにわかること(Simple and intuitive use)、4.必要な情報がすぐ認識できること(Perceptible information)、5.誤った使い方が危険につながらないこと(Tolerance for error)、6.身体への負担が小さいこと(Low physical effort)、7.接近・利用のための十分な大きさ・空間を確保すること(Size and space for approach and use)(これらをユニバーサルデザインの7原則という)
が提示されている。
なお、「バリアフリー」は障害者を想定したデザイン原則であるが、ユニバーサルデザインはこれを含むより広い概念である。
容積率
延べ面積を敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。
建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。
ら行
ランニングコスト
不動産などの資産を維持管理するために必要な費用。英語のrunning cost。電気料金等、点検費、清掃・補修費など継続的に必要な費用のほか、大規模修繕費など定期的に発生する費用を含むコストである。
ランニングコストは、資産を維持するために必要不可欠な費用であるから、資産の保有に当たって十分に確認しなければならない。
なお、ランニングコストに対して、資産を保有する際に一回限り負担する買収費や手続き費用を「イニシャルコスト」という。
欄間
日本の伝統建築で、鴨居と天井の間に設けられた開口部のこと。
高窓ともいう。
わ行
ワンルーム
一部屋で構成する住戸又はその間取りをいう。居室(リビング)、浴室・トイレ、キッチンを備えている。英語でOne-roomとつづれるが、意味上は和製英語である。
「ワンルームマンション」は、ワンルームで構成された集合住宅又は住戸そのものをさすが、その間取りは、一つの居室とキッチンスペースとが仕切られ、キッチンが独立しているタイプのものが多い。一方、「ワンルーム」のなかには、部屋に間仕切りがなく、キッチンスペースを含めて一部屋だけの住戸もある。
不動産の間取り表示において、キッチンスペースが仕切られているワンルームを「1K」、仕切られていないワンルームを「1R」と区別する場合がある。